参照元:天草市立御所浦恐竜の島博物館|九州初の恐竜時代の昆虫化石について

熊本県上天草市龍ヶ岳町椚島(くぐしま)と長崎県長崎市で、中生代(恐竜時代)の昆虫化石が発見され、これが九州初の恐竜時代の昆虫化石であると判明しました。この世紀の発見は、天草市立御所浦恐竜の島博物館、福井県立大学恐竜学部、福井県立恐竜博物館、長崎市恐竜博物館、およびロシア科学アカデミーの共同研究によって明らかにされたとのことです。今回の報告により、国内の中生代の昆虫化石の発見地は四国を除く22地域となり、東アジアの陸上生態系を知る上で非常に重要な成果とされています。

熊本県上天草市産の昆虫化石の概要

上天草市で発見された化石は、昆虫の腹部が主体で、約8,500万年前の後期白亜紀のものと判明しました。

【化石の概要(昆虫類の腹部化石)】

  • 産地:熊本県上天草市龍ヶ岳町椚島(姫浦層群樋の島層)
  • 時代中生代白亜紀後期(約8,500万年前)
  • 特徴:五つの体節が保存された腹部(腹面)が主体。ずんぐりとした形で、甲虫目やカメムシ目に似た特徴を持つことから、甲虫目に属する可能性があるとのことです。
  • 経緯:令和19年(2007年)10月に山田良二氏が発見し、現在の御所浦恐竜の島博物館に寄贈。その後、大山望氏(現・福井県立大学助教)の鑑定により重要な昆虫化石と判明し、調査研究が進められました。

長崎市産の化石と学術的な意義

同時に報告された長崎市産の化石は、後期白亜紀の甲虫類の翅(はね)の化石です。この二つの発見は、日本における昆虫化石研究に大きな進展をもたらしました。

【長崎市産の化石(甲虫類の翅化石)】

  • 時代:中生代白亜紀後期(約8,000万年前)
  • 特徴:ほぼ完全な左の翅で、顕著な翅脈がなく、硬化していることから**甲虫目の鞘翅(さやばね)**である前翅(ぜんし)と考えられています。

【学術的意義】

  1. 九州初の産出:これまで本州と北海道に限られていた中生代の昆虫化石の発見地が九州にも広がり、日本の昆虫類の古生物地理的分布の空白が埋められた、画期的な成果と評価されています。
  2. 生態系解明への貢献:化石記録が少ない後期白亜紀のもの(約8,500万年前と約8,000万年前)であり、当時の東アジア縁辺部の陸上生態系復元や古環境解析に役立つ基礎データとなります。
  3. 最新技術の活用:長崎市産の化石は、最新の観察技術であるRTI(Reflectance Transformation Imaging)技術を用いて解析され、微細な模様などの詳細な情報が得られたことも、研究の評価を高めています。

化石の展示公開について

発見された化石は、それぞれ発見地の博物館で期間限定で展示公開されます。

  • 上天草市産の昆虫化石(腹部の化石)
    • 場所天草市立御所浦恐竜の島博物館
    • 期間令和7年9月27日(土)~12月7日(日)
  • 長崎市産の昆虫化石(翅の化石)
    • 場所:長崎市恐竜博物館
    • 期間令和7年9月27日(土)~12月7日(日)

上記2点の化石は、その後、令和7年12月13日(土)から令和8年3月上旬(予定)まで、福井県立恐竜博物館において期間限定で展示される予定とのことです。

詳細な研究報告や展示情報については、参照元をご確認ください。

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