コロナ に負けない 日本語 ディベート (日台交流)|コロナ禍でのディベート・テーマ

コロナに負けない 日本語ディベート
(日台交流)

コロナ禍の特別な一学期が終わろうとしている。2月末の突然の休校発表以降、新年度になっても学校は始まらなかった。
5月末には徐々に登校が再開したものの、部活動の試合等も減り、児童・生徒にとっては、最後まで異例ずくめだった。

そんななか国境を越えて開催された、週3回、2ヶ月に渡るリモート学習会が開催された。

活動の概要

このリモート学習会は、熊本マリスト学園高校(熊本市東区)、熊本信愛女学院高校(熊本市中央区)、香里ヌヴェール学院高校(大阪府寝屋川市)のディベート部員ら12名と、台湾の大学生が所属する日本語スタディグループ「たけのこ」のメンバーによって開催された。

学習内容は日本語ディベートによるオンラインでの交流活動を柱としてた。

今回の取り組みには、交通大学のほかに、清華大学(新竹市)、台中科技大学(台中市)の学生も参加した。

たけのことは

日本語によるコミュニケーションを楽しむ交通大学(台湾・新竹市)の団体。

活動の発端

「たけのこ」はこれまで、日本から講師を呼んだり、日本の大学でのキャンプに参加したりして、日本語ディベートに取り組んできた。しかしながら、新型コロナウイルス流行によって、2月以降、直接交流することができなくなった。台湾国内での日本語スピーチ大会も、取りやめになった。
従来どおりの活動ができなくなったことで、3月以降は、ZOOMを使って日本の講師がレクチャーが行われた。

その頃、香川県のゲーム規制条例が話題になっていたことから、台湾と日本における青少年のゲーム依存が講義の題材となり、このテーマで日本人と議論をしてみたいという声が学生からあがった。

それが「日台交流ディベート」の始まりだった。

台湾チームの圧勝

ラストを飾る取り組みとして、7月5日から19日までに「日本は未成年のネットゲーム利用を規制すべきである」という論題で、10試合のディベートが行われた。日本の高校生と台湾の大学生が日本語で激論を交わした。

結果は、台湾の大学生の圧勝だった。

参加した日本の高校生は、参加当初、母語である自分たちが有利だと考えていたかもしれない。
しかし、蓋を開けると逆の結果となった。外国語として日本語を学ぶ台湾の学生たちに、日本語を使って思考する方法を教示された。

新しい学習方法の習得

今回の「日台ディベート交流会」の学習会は、生徒のスマホやタブレットを使って、平日の夜や土日に行われた。
従来どおりの学びができない一方で、コロナ禍は、新しい学習方法を獲得する契機になったともいえる。

生徒1人につき1台の端末という学習風景は、遠い海外や一部の私学のものではなくなりつつある。
政府は、4月の閣議決定で「2023年度までの児童生徒1人1台端末の整備スケジュールの加速」という方針を示した。とくに、全国でも珍しいオンライン授業をコロナ休校期間に小中学校で行った熊本市は、令和2年度中の1人1台を目指している。

この端末は、授業動画を観たり、一問一答の問題集アプリを使うためだけのものではない。

会話を渇望する世界の日本語学習者とつながっている。

独立行政法人国際交流基金の2018年度の調査によると、142の国と地域で、385万人が日本語を学んでいる。そのなかには「たけのこ」メンバーのように、日本語を流暢に操り、日本語でのやりとりを望む学生も多い。

コロナ禍の手弁当での取り組みに、未来の教室の一例を見た。

参加者の声

邱佳詮(交通大学)

邱佳詮(交通大学)この活動で違う学校の人と仲良くなりましたし、日本人とのやり取りで日本語もよくなる実感があったんです、いい活動でした。

酒賀えり(クランポンスクール株式会社)

これまで、日本の大学生はわたしたちと一緒に訪台してきましたが、高校生は金銭的・時間的問題で帯同が難しい層でした。でも、今は自宅から継続的にやりとりできます。日本でもオンラ
イン英会話などは活発に行われていますが、高校生と他国の大学生が、1つのテーマについて継続的に議論を深めていく試みはみたことがありません。双方にとって大きな学びが、旅費をかけずに実現しました。

河瀬衣央里(熊本マリスト学園)

様々な部活動の大会が中止されている中、私たちはリモートではありながらもディベートの活動が続けられたことを嬉しく思っています。この試合で得た経験や、国際的な目線をこれからのディベート活動、そして社会生活にも役立てていきます。

木村友奏(熊本マリスト学園)

初めて海外の方や他の高校に通う学生と協力してディベートが出来ました。コロナの影響で、できることは限られていますが、こんな時だからこそ普段はない交流ができて良かったです。

上條純恵(国立交通大學語言中心)

日本語を使って、未成年のゲーム依存という社会問題や、規制による経済損失など、学生たちが真摯に考える機会になりました。

川下大響(北海道大学 サポートメンバー)

いつも彼らには驚かされます。私は大学の第二外国語で学んだ言語どころか、英語さえ満足に運用できません。しかし参加者の多くの専門分野は日本語でないにも関わらず、日本語母語者と障りなく議論を交わしています。

吉廣誠(熊本マリスト学園教諭)

台湾の大学生の鋭さと理解力に驚かされました。『こう返ってくるだろうな』とポイントを予測する力を鍛えることの必要性を痛感しました。

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