山鹿市中地区の生活道路に、ひっそりと鎮座する熊野神社。観光地図には載らないような小さなお宮さんだが、境内にはムクノキの大木が立ち、地域の人々に「権現さん」として長く親しまれてきた場所だ。通り過ぎてしまいそうな場所にこそ、その土地の信仰の歴史が宿っている。
「権現さん」として親しまれてきた神社


案内板には、この神社が地元の人々から「権現さん」と呼ばれて大切にされてきたことが記されている。







熊野神社といえば、紀州・熊野三山の神々を勧請した神社が全国各地に点在している。山鹿市中のこの小さなお宮さんも、そうした熊野信仰の流れを汲む神社のひとつだ。鎌倉・室町時代に修験者たちが各地へ広めたとされる熊野信仰は、九州の山間部にも深く根を張っている。だが詳細な歴史はわからないのよね。
ムクノキを大切にする境内
この神社で目を引くのが、境内に立つムクノキだ。
ムクノキはニレ科の落葉高木で、神社の鎮守の森によく見られる木のひとつ。長い年月をかけて育った大木は、神社の歴史そのものを体現するような存在感がある。案内板にもわざわざ記されているほどで、地域の人々がこの木を大切にしてきたことが伝わってくる。
熊野神社の説明板
神社の由緒書きはないけど、ムクノキについての説明がある。
熊野神社のムクノキ(ムクノキ)
ふるさと熊本の樹木 昭和58年12月10日登録
当神社は権現さんの名で親しまれ、毎年十月に祭が開かれる。
このムクノキは数百年前にあったとされる仏閣跡地に生えており、根はその土台石を包み込んでいる。昭和59年3月熊本県
その廃寺ってのは、中村廃寺のことらしいい。平安時代にあった郡寺ともいわれていて、近隣から瓦も出土している。心礎はいぼ観音とも呼ばれていて、ほぞ穴に溜まった雨水をつけるといぼが良くなるとか。
熊本地震と新しい鳥居
熊本地震(平成28年)の被害を受け、この神社の鳥居も新しいものに建て替えられている。
山鹿市内の多くの神社が同様の被害を受けたが、地域の人々の手によって少しずつ修復が進んでいる。新しい鳥居が建ち、今もきちんと守られているこの神社には、地域の人々の思いが込められている。
地元の生活道路沿いに佇む熊野神社は、観光の目的地というよりも、地域の日常に溶け込んだ場所だ。山鹿市中を散策する際には、ムクノキの大木と新しい鳥居を目印に、ぜひ立ち寄ってみてほしい。
よくあるご質問
Q. 熊野神社(山鹿市中)はどこにありますか?
A. 山鹿市中地区の生活道路沿いに鎮座しています。地元の方の日常の中にある小さな神社で、山鹿市内の神社巡りの途中に立ち寄れます。
Q. 「権現さん」とはどういう意味ですか?
A. 仏が神の姿をかりて現れるという「権現」の考え方に由来する呼び名で、熊野神社はかつて「熊野権現」とも呼ばれ、全国各地でこうした呼び方が親しまれてきました。
Q. 熊本地震の影響はありますか?
A. 以前の鳥居は地震の影響で倒壊しましたが、現在は新しい鳥居に建て替えられています。境内は地域の方々によって手入れされています。
熊野神社へのアクセス
- 交通
産交バス 東中村 停留所から徒歩2分程度 - 所在地
〒861-0531 熊本県山鹿市中 - 駐車場
ナシ
