【感想】「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記(熊本市現代美術館)」

「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記」熊本市現代美術館で令和4年2月5日から開催。いつものようにメディア向けの内覧会に招待していただいたので、一足早く鑑賞することができた。

これがまた現美さんらしく、すこぶる面白かった。塔本シスコ展 を楽しむためのポイントもこっそり教えちゃいます。

塔本シスコさん

塔本シスコ さんという素朴派の画家

事前資料を拝見しただけで親しみを感じてしまう「塔本シスコ」さん。
本当に面白い。残念ながら2005(平成17)年に91歳で亡くなられたそうだ。しかし、絵を描き始めたのは53歳。

どういう人生だったのか、彼女の人生の物語を少しでも知っていると本展がとても楽しめるような気がしている。ということで楽しむためのポイントは彼女の人生そのもの。

彼女は1913(大正2)年、熊本県八代市に生まれて宇城市で育つ。育ての親は養父だが、名付け親でもある。自身のサンフランシスコ行きの夢を託し、彼女をシスコと命名したのだ。本名なんだねって。これだけでも彼女の人生に興味を持たないでいられるわけがない。

家業が傾き、小学校を中退。二十歳まで奉公を重ねて20歳で結婚。子宝にも恵まれたが、46歳で夫を亡くす。深い悲しみの中でシスコさん本人も軽度ではあるが脳溢血を患う。リハビリのために石を彫ったりすることで徐々に回復する。

画家を目指していた長男が家を出て働き始めると、家に残された絵の道具を使ってシスコさん自身が絵を描き始めたのが53歳のときだ。

以来、彼女は認知症を患っても「私は死ぬるまで絵ば描きましょうたい」と言いながら91歳で人生の幕を下ろすまで描き続けたのだ。

こんな話を知ってしまっては、その作品を味わいに行かないわけには行かないと思った。

決して順風満帆な人生ではなかったのでしょうが、絵を描く事によって前向きに生きていたのかなと思うと、本展が始まるのが待ち遠しい。

素朴派とは

定義は曖昧らしいが、画家を職業としない者が、正式な美術教育を受けぬまま、絵画を制作しているケースを意味することが多いようだ。なるほど。

熊本市現代美術館さまより

塔本シスコ展会場内の写真撮影について

本展では著作権継承者の許可を得て、 会場内全域で撮 影ができます。撮影にあたっては、他の観覧者にご配慮 いただき、各機材において、シャッター音を消す機能を用いるか、シャッター音を発する部分に紙製テープを必ず貼り、音の軽減を行ってください。

※当館で準備した紙製テープは弱粘性です。糊はほとんど残りません。
※ご使用の際には、最寄りの係員までお申し付けください。

禁止事項

① フラッシュ、三脚等を用いての撮影
② カメラ等を保護ラインより作品に近付けての撮影
③動画の撮影④他の観覧者の鑑賞を妨げる行為 (連写や場所の占有等)

注意事項

①作品を撮影された写真を個人的に使用する場合、 著作権法に触れることがありますので、使用に当たってはご注意ください。②撮影された写真に他の来館者が写っている場合、 その写真の公表にあたっては、 写り込んだ方の肖像権に触れることがありますのでご注意ください。 ご使用の場 合は利用者の責任においてお願いします。 当館は一切の責任を負いません。 ③商業使用を目的とする撮影は一切お断りいたします。著作権は著作者の権利と名誉を守るためにあります

こんな作品が展示されるよ

今回の展示会で展示予定の作品の一部を紹介する。

熊本市現代美術館さまに広報用画像として正式にお預かりしたものです。

感想

令和4年2月4日の記者発表会は、日比野克彦 館長のご挨拶から始まり、学芸員さんによるシスコさんの作品やその背景となった人生のお話を聞くことができた。学芸員さんは60分フルで 塔本シスコ展 の魅力を伝えようと熱弁を振るってくれたのだが、まだまだ言い尽くせていない様子だった。現美さんは、どの学芸員さんもお話がわかりやすくて助かる。

さて、素人の感想を続ける。

味わい深い熊本弁

塔本シスコさんのキャラクターを味わい深いものにしているのは、熊本弁ではなかろうかと。

  • 私も大きな絵ば描きたかった
  • どがんねぇ、よかでしょが
  • ちょっとみてくれんね
  • ムツゴロウが潮に乗って跳んでさるく
  • 私にはこがん見えるったい
  • ミーィはよか男
  • また新しかキャンバスを持って来てはいよ
  • バックには好きな花を描くけん、なんの花がよかね
  • 私は死ぬるまで絵ば描きましょうたい

これは今回の展示の第1章〜第7章の中で使われた、見出し・小見出し。

全てではないが、熊本弁でいっぱい。

愛でて感謝する、まさに絵日記

約200点の作品が展示されている。彼女の作品の中には時空をとびこえ過去と現在を混在させているところに面白みがあるのかと。

それは「自分の孫と同じ子供に戻って同じ時を、故郷で過ごしてみたい」という妄想的なものもあったのかもしれない。そういう願望をキャンバスに描いていたのかなぁ。

だとすれば、家族や生き物を大切にし、そして感謝して絵ができあがるのかなぁ。

色使いも鮮やかで何も考えずに観るだけでも、楽しめる。

こんな世の中だけど、できるだけ多くの人に時間を作って足を運んでみてほしい。帰る頃にはきっと温かい気持ちになるはずだ。

展覧会情報

開催期間

2022年2月5日(土)~ 4月10日(日)/56日間

会場

熊本市現代美術館 企画展示室I・II

熊本市中央区上通町2-3 びぷれす熊日会館3F

Tel. 096-278-7500 Fax. 096-359-7892

https://www.camk.jp/

休館日

火曜日

開館時間

10:00 ~ 20:00(展覧会入場は19:30まで)

観覧料

一般:1,100(900)円シニア(65歳以上):900(700)円学生(高校生以上):600(500)円中学生以下:無料

※()内は前売/20名以上の団体/各種障害者手帳をご提示の方と付き添いの方1名(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳等)/電車・バス1日乗車券、JAF会員証、緑のじゅうたんサポーター証、美術館友の会証をご提示の方。前売の販売は2月4日まで。

チケット取扱い

熊本市現代美術館、ローソンチケット“ローチケ”[Lコード番号:82308]、セブンチケット[セブンコード:092-351]

主催

熊本市現代美術館(熊本市、公益財団法人熊本市美術文化振興財団)、熊本日日新聞社、熊本放送

助成

美術館連絡協議会

後援

熊本県、熊本県教育委員会、熊本市教育委員会、熊本県文化協会、熊本県美術家連盟、熊本国際観光コンベンション協会、J:COM、エフエム熊本、FM791

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