【終了】遠距離現在 Universal / Remote (熊本市現代美術館)
遠距離現在 Universal / Remote
2023.10.7(土)〜 2023.12.17(日)
パンデミックをきっかけに考えるようになった社会の在り方、その中の私たちの暮らしや労働など、様々な事象を現代美術を通して考察する展覧会です。全世界規模の「Pan-」と、非対面の遠隔操作「リモート」の2つの視点から、グローバル資本主義や社会のデジタル化といった現代美術における従来のテーマを新たに捉えなおします。過剰な監視システムや精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、その中で生きる人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、またポストコロナ時代の世界と真摯に向き合うものです。
遠距離現在 Universal / Remote の出品作家
井田大介 、徐冰(シュ・ビン) 、トレヴァー・パグレン 、ヒト・シュタイエル
地主麻衣子 、ティナ・エングホフ 、チャ・ジェミン 、エヴァン・ロス 、木浦奈津子
井田大介《誰が為に鐘は鳴る》2021 年 © Daisuke Ida, courtesy of the artist
井田大介
Daisuke Ida
1987年鳥取県生まれ、東京在住。2015年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。彫刻という表現形式を問いながら、彫刻・映像・3DCGなど多様なメディアを用いて、目には見えない現代の社会の構造や、そこで生きる人々の意識や欲望を視覚化している。2016年からは世界中の人々がインターネット上にアップロードしている匿名的な画像を素材として、インターネット以降のモノや身体の在り方を彫刻する「Photo Sculpture」を継続的に制作している。
徐冰(シュ・ビン)《とんぼの眼》2017年 © Xu Bing Studio, courtesy of the artist
徐冰 シュ・ビン
Xu Bing
1955年中国、重慶生まれ。1987年北京の中央美術学院版画専攻の修士課程修了。ニューヨークと北京を拠点に活動している。実在しない「偽漢字」や漢字のように見える英文「新英文書法」の創作、絵文字と記号のみで書かれた小説「地書」、廃材を用いたインスタレーション作品などで知られている。本展では徐の初の映像作品《とんぼの眼》(2017)を上映する。
トレヴァー・パグレン《米国家安全保障局 (NSA) が盗聴している光ファイバーケーブルの上陸地点、米国ニューヨーク州マスティックビーチ》2015年 © Trevor Paglen, courtesy of the artist; Altman Siegel, San Francisco; Pace Gallery, New York
トレヴァー・パグレン
Trevor Paglen
1974年アメリカ、メリーランド州生まれ。ベルリンとニューヨークを拠点に活動。アート・インスティテュート・オブ・シカゴで修士号を、カリフォルニア大学バークレー校で地理学の博士号を取得。地理情報と軍事機密、マシンビジョン、監視と通信システム、AIによる自動生成イメージなどをテーマに、写真、映像、立体作品を制作している。
《ミッション完了:ベランシージ》2019年 ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ、ヒト・シュタイエル、ミロス・トラキロヴィチの共同制作
展示風景:「ヒト・シュタイエル」ノイエ・ベルリナー・クンストフェライン(n.b.k.)、2019年 Courtesy the artists; Neuer Berliner Kunstverein, Berlin; Andrew Kreps Gallery, New York; Esther Schipper, Berlin. Photo © Neuer Berliner
Kunstverein (n.b.k.) / Jens Ziehe
ヒト・シュタイエル
Hito Steyerl
1966年ドイツ、ミュンヘン生まれ、ベルリン在住。日本映画大学とミュンヘンテレビ映画大学でドキュメンタリー映画を学び、2003年ウィーン芸術アカデミーで哲学の博士号を取得した。デジタル技術やグローバル資本主義といった社会的条件の中のイメージの生産と消費に関する映像作品を制作。2010年代からはe-fluxを中心に著述活動を続けている。日本では『デューティーフリー・アート:課されるものなき芸術 星を覆う内戦時代のアート』(2021年)が近年刊行。
地主麻衣子《遠いデュエット》 2016年 © Maiko Jinushi, courtesy of HAGIWARA PROJECTS
地主麻衣子
Maiko Jinushi
1984年神奈川県生まれ、東京在住。多摩美術大学大学院絵画専攻修了。ヤン・ファン・エイク・アカデミーのレジデンスプログラムに参加。映像、インスタレーション、パフォーマンス、テキストなどを総合的に組み合わせて作品を制作する。近年の『葬いとカメラ』(2021年)には、死と葬いを映像で記録することに関して文化人類学者金セッピョルと行った対話がおさめられている。
ティナ・エングホフ《心当たりあるご親族へ――男性、1954年生まれ、自宅にて死去、2003年2月14日発見》 2004 年 © Tina
Enghoff, courtesy of the artist
ティナ・エングホフ
Tina Enghoff
1957年デンマーク生まれ、コペンハーゲン在住。ニューヨークのインターナショナル・センター・オブ・フォトグラフィー (ICP)で写真を学ぶ。記録写真における表象と可視性の問題を扱う作品を制作する。主に北欧における植民地主義や福祉国家の制度的暴力、アーカイブの権力構造といったテーマに関心を持ち、コミュニティへの参加や共同制作、アート・アクティヴィズムを中心としたプロジェクトを実践する。
チャ・ジェミン《迷宮とクロマキー》2013年 © Jeamin Cha, courtesy of the artist
チャ・ジェミン
Jeamin Cha
1986年韓国生まれ、ソウル在住。2010年に韓国芸術総合学校美術学部を卒業後、2011年にロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで修士号を取得。映像、パフォーマンス、インスタレーションと執筆活動まで、多岐にわたる媒体で制作を続けている。チャの作品は、身体と心理や感情との関係性を扱い、表現しがたい経験を持つ個人に焦点を当てる。また、技術の進歩によって縮小していく未知の領域を保存することに関心を持っている。
エヴァン・ロス《あなたが生まれてから》2023年
展示風景:「あなたが生まれてから」ジャクソンビル現代美術館、2019年
© Evan Roth, courtesy of the MOCA Jacksonville. Photo by Doug Eng
エヴァン・ロス
Evan Roth
1978年アメリカ生まれ、ベルリンを拠点に活動。メリーランド大学で建築学を学び、パーソンズ・スクール・オブ・デザインでデザイン&テクノロジーを専攻し修士号を取得。絵画や彫刻からウェブサイトまで多様なメディアにおける芸術制作に、ハッカーの哲学を応用する。彼が共同開発に参加した「The EyeWriter」は、身体が不自由なアーティストが眼球の動きのみで絵が描けるよう開発した装置で、第14回メディアアート芸術祭(2009年)で優秀賞を受賞した。
木浦奈津子《こうえん》2023年 © Natsuko Kiura, courtesy of the artist
木浦奈津子
Natsuko Kiura
1985年鹿児島県生まれ、鹿児島市在住。2010年尾道市立大学大学院美術研究科油画専攻修了。一貫して風景、特に日常の景色の油絵を描き続けている。カメラで捉えた近郊の風景をもとに描かれる彼女の作品は、単純で抽象的でありながらも、見たときの風景そのままを保存する不思議な魅力をもつ。複数の小さいキャンバスを壁全面に配置し、絵画インスタレーションとして構成する。2019年第45回鹿児島市春の新人賞受賞。VOCA 展2022に出品。
遠距離現在 Universal / Remote 展覧会情報
開催期間:2023年10月7日(土)〜 12月17日(日)
休館日:火曜休館
開館時間:10:00 ‒ 20:00(入場は19:30まで)
会場:熊本市現代美術館
観覧料
一般: 1,100(900)円
シニア(65歳以上): 900(700)円
学生(高校生以上): 600(500)円
中学生以下: 無料
※( )内は前売/20名以上の団体/電車・バス1日乗車券等をご提示の方
※各種障害者手帳等をご提示の方とその付き添い1名は無料
※10月12日(木)は開館記念日のため入場無料
主催:熊本市現代美術館(熊本市、公益財団法人熊本市美術文化振興財団)、熊本日日新聞社[予定]
企画協力:国立新美術館